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1dayイベント後に残る「手応えのなさ」の正体
多くの企業が1dayイベントを通じて学生との接点を作り、アンケートでは「満足」という回答を得ています。しかし同時に、次のような違和感を抱く担当者も少なくありません。
「名前は知ってもらえた。でも、彼らの選択肢として、自社が深く刻まれているだろうか」
この違和感は、担当者の努力不足ではありません。コロナ禍を機に就活の形が大きく変わり、様々な手法で学生の認知を獲得する1dayの取り組みが一般化しました。そこに「早期接触」という要素がさらに追加されたのがここ数年です。
しかし、そもそも「就活生」という区切り自体が曖昧になっています。学生たちは1年生の頃から企業と接点を持ち、オープンカンパニーやイベントに参加し、キャリアについて考え始めています。従来の3年生向けに確立された手法を、こうした学年の枠を超えた学生たちにそのまま適用することで生じる構造的なズレが、この違和感の正体です。
「点」の接触だけでは不十分な理由
なぜ従来の単発的な接触では効果が限定的なのでしょうか。その背景には、情報環境の大きな変化があります。
会社概要はAIで事足りる時代
現在の学生にとって、企業のスペック情報――給与、福利厚生、事業内容――は、検索やAIを使えばいつでも入手できます。最近の学生が重視しているのは、そうした表面的な情報ではありません。どんな人が働いているのか、社員の雰囲気や会社の文化といった、数値化できない部分です。説明会で提供される情報の整理ではなく、「その組織の中で、自分はどう成長できるのか」という具体的な変容のイメージを求めています。
興味の「揮発性」という課題
学生の興味関心は流動的です。1dayイベントで一時的に高まった関心も、次の接点までの空白期間に減衰してしまいます。これは個別の施策の問題ではなく、多忙な大学生活を送る学生の認知特性として避けられない課題です。

キャリア教育を軸にした継続的な関係構築
先日、某小売企業の人事部長からこのようなコメントをいただきました。
1日限定のイベントでは時代はいい母集団を作ることは難しい。数ヶ月、半年・1年といった形で接触をし続ける取り組みってなかなかない
キャリア教育を通して関係性を持ち続けるというのは非常に良い打開策であり、質の高く、そしてコンスタントに関係性を持てるものものが必要。
となると、私たちはキャリア教育的アプローチしかないと思った
これまでの活動により、多くの企業を支援する中で見えてきたのは、単発のイベントではなく、2,3ヶ月、長くて半年という時間軸で学生とコンスタントに関係性を持ち続ける構造の必要性です。1日限定のイベントでは、深い信頼関係を築くことは困難です。長期的な接触を維持するための仕組みが、現在の採用市場には不足しています。

「キャリア教育」という枠組みこそが、幅広い学生と継続的につながるための有効な手段だと考えています。
重要なのは、いかにプログラム化し、学生が興味を持つコンテンツを作るかです。そして学生が自社という環境の中で継続的に思考している「アクティブな状態」を維持すること。これが、今の学生へのアプローチにおける本質的な解だと考えています。
「選別」から「教育」への発想転換
早期接触を「採用のための青田買い」と捉えることには、リスクがあります。まだキャリアについて模索中の学生に対して、企業の都合を一方的に押し付けることは、長期的には企業ブランドを毀損する可能性があります。
企業のプログラムに「籍」を置いてもらう
私たちが提唱するのは、自社が提供する「キャリア教育の場」に学生が籍を置いている状態を作ることです。たとえ彼らが他社のプログラムに参加したとしても、継続的に学んでいれば、最適なタイミングで自然な対話が生まれます。この「教育」を介した関係性は、従来の「採用・被採用」という緊張関係を超えた、強固な信頼関係を構築します。
早期接触時代の人事の役割はファンを作ること
学生への早期接触を、短期的な採用数という成果指標だけで評価することには限界があります。
早期接触を「採用活動」という枠組みから「キャリア教育を通じたブランディング資産」へと再定義することを提案します。学生の可能性を広げるための場を提供し続けること。その姿勢こそが、結果として激化する採用競争から自社を差別化する、最も合理的な戦略となるはずです。
人事担当者が日々向き合っているのは、単なる数字ではなく、学生たちの未来そのものです。
早期接触総合研究所(運営:株式会社CourseVALU)
CourseVALUが主催する、大学生向けの職業体験型イベント
大学キャンパスを舞台に「職業体験テーマパーク」をコンセプトとした体験型の「キャリア教育イベント」です。従来の「会社説明を聞くだけ」のイベントとは一線を画し、業界を代表する企業が「仕事の面白さ」を体感できるワークショップを一斉に展開。学生が楽しみながら自身のキャリアの可能性を発見できる、新しいスタイルのキャリア教育イベントです。