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事例紹介小売・サービス業
ドラックストアの棚をデザイン、BP(ビジネスプランナー)体験
POP UP CAMPUS 2026 事例
ドラックストアの棚をデザイン、BP(ビジネスプランナー)体験
ロート製薬のワークショップで、学生たちは色ペンを握り、商品棚とPOPを作成しました。製薬企業のワークショップでPOPを作る、一見すると意外な組み合わせですが、ここにはロート製薬の営業職のリアル、コンテンツとしての楽しさ、ロート製薬のカルチャー、が詰まっています
🏪 小売・サービス業
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どんなワークショップか

ロート製薬様が実施したワークショップは、「ロート製薬のBP(ビジネスプランナー)になりきって、ドラッグストアの商品棚をデザインせよ!」です。1コマあたり約20名の学生が4〜5人のチームに分かれ、店舗の来店客層や購買データを読み解くところからスタートします。データからドラッグストアの「伸び代」を発見し、仮説を立てたうえで、ターゲットに合わせた商品棚のレイアウトとPOPのキャッチコピーをチームで作成。最後は店長役の社員に向けた2分間のプレゼンに挑む90分です。

「製薬」「ビジネス」と聞いても自分には縁がないと感じる学生でも、棚をデザインしてキャッチコピーを考える作業には夢中になれます。これは、ロート製薬のBP(ビジネスプランナー)が実際に行っている仕事の一部そのものです。楽しいから熱中する、熱中するから理解が深まる。そして90分の体験の最後に、「実はこの仕事にはもっと大きな意味がある」と種明かしされたとき、学生にとってロート製薬は「目薬の会社」から新しいイメージへと変わりました。

POP UP CAMPUSで実現したかったこと
-企業が「伝えたいこと」と学生に「届いていること」のズレ-

ロート製薬は1899年創業。目薬で広く知られていますが、実態はスキンケア、内服薬、機能性食品、再生医療まで手がける総合ヘルスケアカンパニーです。採用活動では、このギャップを埋めることがテーマでした。

消費者として商品に愛着を持ち興味を持つ学生は多くいますが、ロート製薬が求めているのは「お客様の課題をベースに、どんな未来を作るのか」を考えられる人材です。また、日系大手のイメージから「安定した大企業」を期待して入社する学生もいる一方、実際の社風は自ら手を挙げて部署横断的に動くことが求められるもの。さらに「製薬=理系」という先入観が、文系学生との接点を狭めていました。

人事として情報発信は続けてきたものの、説明会やパンフレットでは届かない層がいます。就職活動が始まる前の段階から、「何のために働くのか」を学生と一緒に考える場が必要だという目的があり、POP UP CAMPUSへの出展に至りました。

コンテンツ開発の裏側 ── 「食わず嫌い」をなくす設計思想

POP UP CAMPUSでは、企業の担当者と学生アンバサダー(CourseVALUとともにワークショップ作りに関わる大学生)がチームを組み、数ヶ月かけてコンテンツを共同開発します。ロート製薬チームでも、学生アンバサダーが社員インタビューやオフィス訪問を通じて企業研究を行い、「学生から見たイメージ」と「実態」のギャップを洗い出しました。

「アイケアの売上比率は実は19%。意外と目薬の会社じゃない」
「研究、企画のイメージが強いけど、それ以外の仕事の面白さが埋もれているのでは」

こうした学生の声は、ワークショップの方向性を考える上で重要な材料になり、ギャップを踏まえて、ロート製薬人事部の皆様とコンテンツの設計を進めていきました。

POP UP CAMPUSの来場者は大学1・2年生が中心です。限られた90分で、ロート製薬の事業や職種をすべて丁寧に説明する必要はなく、大事なのは「ロート製薬の仕事って面白いかも」と感じるきっかけを正しく作ること。その入口さえ正しく設計できれば、断片的な理解に終わることなく、学生自身が「もっと知りたい」と動き出す流れを作ることができます。

そこでフォーカスしたのが、BP(ドラッグストア等の取引先と連携し、売り場づくりからビジネス提案まで行う営業職)です。新卒で入社した社員の多くが最初に経験する職種であり、文系・理系を問わず活躍できるフィールドです。ただし、BPの仕事をそのまま説明しても「営業職の紹介」で終わってしまいます。重視したのは3つのポイントでした。

① 熱中できるクリエイティブ要素を入口にする。 

「製薬企業のビジネスを考えよう」と言われてもピンとこない学生でも、「商品棚をデザインしPOPを書こう」であれば手が動きます。ワークショップでPOPを作るという企画は、一見するとワークショップのための成果物に思われがちですが、実際にはBPが行うこともある業務の一部です。楽しさと仕事のリアルが両立する活動を入口に置くことで、誰でも自然に没頭できる状態を作りました。

② 「実はもっと大きな仕事がある」と気づかせる構造にする。

ワークショップで体験できるのはあくまで一部です。そのため、終盤で「BPは自社商品を売るだけではない。他社製品の配置まで提案し、ドラッグストア全体のWell-beingを実現する仕事」だと業務についてより詳しく明かされます。体験した「楽しさ」の先に、もっと大きな仕事の広がりがあると知ったとき、学生の関心は一段と深くなります。限られた時間で「きっかけ」を正しく提供し、興味を自然に生み出す設計です。

③ メーカーならではの体験を最大限活かす。

当日は、実際の商品を用いてワークを進めました。肌ラボ、メラノCC、ケアセラ、Vロートなど、学生たちがいつも使っている商品を、今度は「届ける側」の視点で手に取ります。パッケージの大きさや質感、裏面の効能表示を確認しながら「この商品を、棚のどこに、なぜ置くのか」を考えていく。消費者から提供者へ視点が自然に切り替わっていくこの体験は、メーカーだからこそ実現できるものであり、画面上のスライドでは得られないリアリティを生み出しました。

当日の体験 ── 90分の流れ

冒頭、参加者は「ロートネーム」(ワーク中に呼び合うニックネーム)を決めます。これはロート製薬の社内文化を再現したもので、役職に関係なくフラットに仕事をする企業文化を、自然に体感させる仕掛けです。続くクイズで「えっ、あの商品もロートだったの?」という驚きを通じて、「ロート=目薬」の先入観がほどけていきます。

メインワークでは、店舗データ(来店客層、購買データ、カテゴリ別売場立ち寄り率など)を分析し、ドラッグストアの「伸び代」を見つけるところから始まります。課題を探すのではなく、もっと伸ばせるところはどこか。このポジティブな問いの立て方が、学生たちのワークを前向きに動かしていきます。

データから仮説を立てたら、実際の商品を選び、A3の白紙ワークシートに棚のレイアウトをデザインし、POPのキャッチコピーを書き込みます。段数の指定もなく、自由度の高さがチームごとにまったく異なるアプローチを生み出しました。

最後は店長役の社員への2分間プレゼンです。審査基準は「説得力」「面白さ」、そして「寄り添い力」の3つ。この「寄り添い力」がロートらしさを象徴しています。

このワークショップのファシリテーターを務めたのは、ロート製薬の社員様です。各チームの様子を見ながら問いを投げかけ、時にはアドリブを交えて場の空気を作ります。「この店舗のお客さん、本当にそれ欲しいかな?」といった問いかけが、学生たちの思考をもう一段深いところへ引き込みます。場の雰囲気までデザインするファシリテーションにより、全4コマでの満足度スコアの差がわずか0.46ptという安定した体験品質が実現しました。

参加学生の声

アンケートでは、「見る目が変わった」という日常認知の変化を語る声が目立ちました。

「いつも何気なく通っているドラッグストアの棚の陳列が、ある意図によって作られていたことに驚いた」 (早稲田大学 商学部2年)

「いつもスキンケアで使っていた商品を、消費者ではなく届ける側として棚を構想できたのは興味深かった」(立教大学 経営学部2年)

「実際のデータから、人々の悩みを見つけて、解決策をビジネス案に落とし込んでいくプロセスを体験できた」(慶応義塾大学 商学部2年)

ファシリテーターを務めた人事部社員の声

学生アンバサダーのみなさんが丁寧に社員のヒアリングをしてくださり、「ロートのBPの仕事、想像していた営業の仕事とはまったく違い、おもしろいかも!」という気づきから素晴らしいワークショップが生まれました。簡易版とはいえ、店頭でお客さまに向き合う仕事のエッセンスがぎゅっと詰まっており、参加学生のみなさんが90分間真剣に考えてくださったことがとても嬉しかったです。

まとめ

ロート製薬様と目指したのは、「ロート製薬の仕事って面白いかも」と学生が自然に感じる入口を作ることです。全部を説明するのではなく、正しい入口できっかけを設計する、そのアプローチが形になったプログラムでした。

POPづくりという熱中できるクリエイティブ要素で誰でも自然に没頭できる状態を作り、実際の商品を手に取る体験で消費者から提供者へ視点を転換させ、種明かしでさらに深い興味を引き出す。そして社員自身がファシリテーターとして場をデザインすることで、誰がいつ受講しても同じ熱量が再現されました。

コンテンツの設計から当日の運営まで、「この会社らしさ」を軸にした一貫した体験づくりが、数字として結果に表れたワークショップでした。イベント後も社員主導で自社開催が継続・アップデートされ、人事部のコンテンツとして活用されています。